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2015/06/25 08:14

[週刊BCN 2015年06月22日付 Vol.1584 掲載]

Special Issue

<中国でクラウドを“共同提供”>【対談】クララオンライン 家本賢太郎 代表取締役社長CEO×ニフティ 上野貴也 クラウド事業部 事業部長 両社協業で「鴻図雲(ホンツーユン)」を一段と拡大へ

 日本のクラウドを中国へ──。クララオンラインとニフティは中国でのクラウド事業の拡大を本格化させている。両社が共同で提供する中国向けパブリッククラウドサービス「鴻図雲(ホンツーユン)」は、中国で日系の大手自動車メーカーや健康機器メーカー、デジタルコンテンツホルダーなどに相次いで採用され、予想を上回る勢いで事業が伸びているのだ。2015年4月からニフティが「鴻図雲」の“共同提供社”として運営に参画し、ビジネスに一段と踏み込むことで同事業の発展をさらに加速させる。


クララオンライン
家本賢太郎(写真左)
代表取締役社長CEO
国内はもとより、アジア成長市場に精通する希有なインターネットインフラサービス「クララオンライン」の創業者

ニフティ
上野貴也(写真右)
クラウド事業部
事業部長
3500件余りの契約件数を誇る国内パブリッククラウドサービス大手「ニフティクラウド」事業を統括する総責任者

予想を超える勢いの伸び アジア特有の商慣習を把握

 クララオンラインは、東アジア・ASEANで幅広くインターネットインフラサービスを提供しており、「ニフティクラウド」は、国内3500件余りの契約件数を誇る国内パブリッククラウドサービス大手である。この両社が密に連携することで、中国向けパブリッククラウドサービス「鴻図雲(ホンツーユン)」が国産パブリッククラウドの優良な品質と、中国の環境への適合性の両方を兼ね備えたサービスとなる。

 これまでの両社の連携は、ニフティクラウドのエンジン部分を、クララオンラインが中国で展開する鴻図雲に技術的な支援として提供される形態だった。だが、この4月からは両社がともに支援し合い、高めていく事業と位置づけ、“共同提供”に発展。サービス内容の一段の拡充へと踏み出している。

 鴻図雲は、2013年8月にサービスをスタートして以来、日系企業や中国地場企業、日系以外の外資系企業など幅広いユーザーを獲得してきた。クララオンラインの家本賢太郎・代表取締役社長CEOは、約2年間の鴻図雲サービスを振り返って「100点満点中、90点」と高く評価。中国の情報サービス市場の力強い成長と相まって、引き合いベースでは「予想を超える勢いで伸びている」と手応えを感じている。

 ニフティは、ニフティクラウドの海外展開を積極的に進めており、北米では2014年末から試験的にサービスを実施。中国には鴻図雲の運営に参画することで、進出を果たしている。ニフティの上野貴也・クラウド事業部事業部長は、「クララオンラインはITベンダーであると同時に、アジア市場の商慣習にも精通している」と評価し、海外展開を進めていくニフティクラウドにとって、クララオンラインは頼もしいビジネスパートナーだと話す。

 クララオンラインの家本社長、ニフティの上野事業部長に、中国をはじめとするグローバルビジネスについて、存分に語っていただいた。

両社の協業でグローバルビジネスを加速

──中国向けのパブリッククラウドサービス「鴻図雲」は、これまではニフティがクララオンラインに「ニフティクラウド」の基盤技術を提供する方式でしたが、今回、クララオンラインとニフティの“共同提供方式”となりました。まずは、その狙いからお話しいただけますか。

家本 当社クララオンラインとニフティがタッグを組んで、中国向けパブリッククラウドサービスの鴻図雲を盛り上げていくのが狙いです。当社はIT会社であるだけでなく、アジアビジネスの研究でも先行しています。一方、ニフティはパブリッククラウドのノウハウに長けていますので、両社の強みを持ち寄ることで、中国に適したサービスがより一層展開しやすくなりました。

上野 ニフティは国内で高い評価を受けているパブリッククラウドサービスではありますが、海外ビジネスの経験が乏しいことが課題でした。そこで中国ではアジアビジネスに詳しいクララオンラインと組むとともに、並行してニフティ単独で今年夏以降をめどに北米でのニフティクラウドの正式サービスを始める準備を進めています。中国と北米というアジア太平洋における二大市場に進出することで、グローバル進出を積極的に進める国内既存のニフティクラウドのユーザー企業にとっても大きなメリットをもたらすことが可能になるわけです。

中国クラウドの一角を占める

──クララオンラインは、国内はもとより、中国・台湾・韓国の東アジア地域に加え、シンガポールを起点とするASEAN地域でのビジネスに積極的に取り組んでおられます。こうした実績がクララオンラインの強みにつながっているということですね。

家本 今回は鴻図雲がテーマですので、中国に限った話をしますが、中国は独特なインターネットサービスの発展を遂げています。つまり、中国の市場環境は非常に特殊であるということです。

 日本やインターネット発祥の地である米国の常識がなかなか通じない一方、アリババ(阿里巴巴)やテンセント(騰訊)など中国のインターネットサービス大手が独自のパブリッククラウドサービスをぐいぐいと伸ばしています。また、世界大手のAmazon Web Services(AWS)も中国市場への本格進出を始めているとも聞いています。こうしたなかで鴻図雲は2013年8月にサービスを始めており、中国でのユーザー数を大きく伸ばしてきました。成長市場である中国のパブリッククラウドサービスの一角を占めるポジションには、大きな価値があると自負しています。

上野 家本社長が指摘されたように、中国のインターネット環境は特色があり、ニフティ単独ではなかなかハードルが高い。そこで今回、クララオンラインにニフティクラウドの中国におけるビジネスパートナーになっていただき、鴻図雲の運営に参画しました。鴻図雲はもともとニフティクラウドのエンジンを使っているので、コントロールパネル(操作盤)やシステムの構造はニフティクラウドとほぼ同じ。ニフティクラウドのユーザーなら、新しく操作を覚える必要がありません。日本と同等の使い勝手を実現しつつ、中国の特殊な環境にも適応しているのが、両社共同提供の鴻図雲なのです。

アジア最大の市場に挑む

──鴻図雲の特徴といえば、中国の5大ISP(中国電信・中国聯通・中国移動・科技網・教育網)に接続し、接続先に応じて柔軟にデータ転送ルートを制御することで、ネットワークのボトルネックを解消していることが挙げられます。これも中国国内の独特なネットワーク構造を熟知していないと、おそらくなし得ない技です。

家本 このあたりは当社も相当苦労しましたね(苦笑)。そういった経験をもとに、おかげさまで今では、創業時からのインターネットインフラサービスに加えて、アジアのインターネットビジネスを支援する「アジアビジネスコンサルティング」や、アジア各地の調査レポートをまとめる「アジア発のビジネスレポート」などのビジネスコンサルティング事業も確立することができました。実際に、こういった情報は貴重だとユーザー企業からはとても高い評価をいただいています。


上野 中国ではさまざまな規制があって、サービスを提供するうえで壁を感じることは多々あります。しかし、そのような事業環境でも、柔軟なカスタマイズ対応などで、日本品質のクラウドサービスをより現地のお客様に使っていただきやすくすることを目指しています。

──今後の発展の方向性についてお話しいただきたいのですが、鴻図雲のビジネスでどのあたりが、とくに有望視されているのでしょうか。

家本 この2年間で相次いで受注が決まりましたが、なかでも大手自動車メーカーや健康器具メーカー、デジタルコンテンツホルダーといった顧客層に注目しています。いずれも中国市場に意欲的に進出している業種で、日本が強みとする分野でもあります。中国の自動車市場は右肩上がりで伸びていますし、少子高齢化に伴う医療・介護費の抑制需要、オンラインコンテンツ市場の持続的な成長など、とりわけ日本から中国へ進出するユーザーや、日本以外の外資系ユーザーへの一層の取り込みに力を入れていく方針です。中国はアジア最大市場であるという点では、おそらく誰も異論を挟む余地はないでしょう。

上野 ニフティは、パートナー様との協業に注力していますが、今後はグローバルにこの方針を拡大していきます。アジア最大の成長市場である中国ではクララオンラインという頼もしいビジネスパートナーと組めたことで、今後のニフティクラウドのグローバルビジネスに一段と弾みがつくことを期待しています。

──本日はありがとうございました。


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