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2015/10/28 12:00

[週刊BCN 2015年11月02日付 Vol.1602 掲載]

Special Issue

<新興ストレージベンダー座談会>ストレージの新たな概念を生み出す 新興だからこその強みで市場活性化へ (1/2)

 SSD(ソリッドステートドライブ)をはじめ、フラッシュメモリを使用するストレージ機器は、今や企業のプライマリストレージとして有力な選択肢になってきた。そこで、ヴァイオリン・メモリ、ティントリジャパン、ピュア・ストレージ・ジャパンという、トップランナーとしてフラッシュストレージの市場をいち早く開拓・けん引してきた有力な新興ストレージベンダー3社に集まっていただき、市場の現状と今後の動向、新興ベンダーだからこその強み、拡販に向けたパートナー施策について存分に語ってもらった。


出席者(写真左から)

ヴァイオリン・メモリ
森山輝彦
システムエンジニア本部長

ティントリジャパン
東 一欣
SEマネージャー

ピュア・ストレージ・ジャパン
阿部恵史
マーケティング部長

(司会・進行 『週刊BCN』副編集長 佐相彰彦)



1~2年で「フラッシュファースト」に
高技術や低コストでディスクを上回る

──まず、国内ストレージ市場についてお聞きします。市場全体は微増のなか、フラッシュなど新しい技術を使うストレージはかなり伸びているといわれていますが、どう捉えていますか。

東(ティントリジャパン) 容量が少ないDAS中心の時代からSANやNASなどの共有ストレージが主流となり、今はフラッシュ、さらにSDS(Software-Defined Storage)など仮想化による新しいストレージの形態が登場しています。それだけに、ストレージ市場はかなり多様化しています。市場全体の伸びは微増ではあるものの、今の顧客が求めるスピードに対応するフラッシュ、高い柔軟性を実現する仮想化などを意識したストレージは、大幅に伸びていくと考えています。

阿部(ピュア・ストレージ・ジャパン) 市場全体として、金額の伸びはわずかですが出荷容量が大きく伸びています。今注目されているのが、容量の拡大で蓄積されたデータの活用です。ビッグデータを活用してビジネスの成長につなげていくなど、お客様の要求・要件が変わっていくなか、ストレージ市場の中身(機器)も変化しています。HDDなど従来型機器が担う領域が小さくなる一方、フラッシュなどが担う領域が拡大するなど、転換期に差しかかっています。すでに米国では、主要なストレージベンダーはキャッシュ以外のデータ保存領域でフラッシュを採用しており、ストレージシステム選定においてフラッシュファーストの流れが到来しています。日本もその流れに追随し、1~2年以内にフラッシュファーストがあたりまえの時代になると考えています。

ヴァイオリン・メモリ
森山輝彦
システムエンジニア本部長
森山(ヴァイオリン・メモリ) グローバルでは、現状のフラッシュ市場が22億米ドルで、2~3年後に150億米ドルになるとの予想があります。一方、お客様のストレージに対する投資額は変わらなくても、扱うデータ量は年率30・40%伸びており、運用、フットプリント、電力など、ストレージ関連のTCOが増えている状況にあります。そこで、フラッシュを使うとTCOが削減できるとアピールしているのが新興ベンダーで、フラッシュに関しては大手ベンダーが追随しているという状況になっています。当社がスピード、ピュア・ストレージ・ジャパンさんがデータ削減機能やコスト、ティントリジャパンさんが仮想化や使い勝手など、それぞれの強みを生かして大手ベンダーをけん制しながら市場をリードしてきたからです。また、ディスクに比べてフラッシュの技術革新は優位で、しかも高いといわれていたコストが来年にはディスクよりも安くなる可能性が高いことから、ディスクをもたないベンダーが変革のリーダーを担っているというのが今のストレージ市場です。

 すでに2.5インチフォームファクタでは、SSDが容量密度でHDDを上回っており、コストもまもなくSAS-HDDを上回るでしょう。3.5インチのSATA、NL-SASのHDDはまだ当分コスト的に優位ですが、遠くない将来にコスト差がなくなるにつれてストレージ階層化のTier0や1(オンライン)だけでなく、Tier3、4(ニアライン、オフライン)などにもフラッシュが使用されていくと思います。

各社それぞれの強みを生かし
市場をけん引していく

──フラッシュ優位の話が出ましたので、自社製品の強みを教えていただけますか。

阿部 当社の基本姿勢は、ディスクストレージが担ってきたDB、アプリケーション、BIなど、ミッションクリティカルな領域を対象とした製品展開です。ディスクストレージにはないパフォーマンスを、トレードオフにならずにプライマリストレージに要求されるデータ保護機能を確実に担保して高い信頼性を実現していることが強みです。しかも、購入しやすい価格で提供している。ハードウェアについては、できるだけ自社開発をしないで、市場で多く出回っているパーツを調達してコストを抑える一方、独自のストレージOSによって優位性を出しています。また、当社はForever Flashという独自のサポートプログラムを提供しています。これは、保守サービス契約を継続していれば、保守契約の範囲内で3年ごとに新しいコントローラが無償で提供され、従来型ストレージのようなシステムの買い替えやライセンスの再購入、データ移行などを必要としないシステムの無停止アップグレードが可能となるビジネスモデルです。これによって、ランニングコストを下げ、TCOを抑えることができるようにしています。

森山 当社は、2008~09年にいち早くフラッシュ製品を投入して市場をリードしてきました。当初は、とにかくハイスピードを求めるお客様を対象に展開してきましたが、その需要がほぼ行き渡ったこともあって、現在は「Violin V2」と呼ぶ「Violin 7000シリーズ」を投入してプライマリ市場の開拓を進めています。この製品は従来の5分の1程度の容量単価を実現し、データプロテクションを含め、機能性、使い勝手、フットプリントにもすぐれ、運用改善に貢献します。当社は設立当初から、フラッシュストレージを一から自社開発してきましたので、技術では他社の2~3年先を進んでいると自負しています。そこに新機能を加えることで、新しいアプライアンス型のフラッシュストレージが提供できるのです。これまでは、「速いが高価」というイメージでしたが、今は速くてコストでも納得できる製品としてアピールしています。

ティントリジャパン
東 一欣
SEマネージャー
 当社は、2008年に米VMwareで開発部門のエグゼクティブバイスプレジデントを務めていたメンバーが独立して創業した会社です。当時、仮想化に最適なストレージがなく、「では、自分で開発しよう」ということでスタートしたのです。それだけに当社の製品は、大手ストレージベンダーにはない強みとして、仮想化環境に最適化したストレージとしてゼロから設計され、単に仮想マシンを最適化するだけではなく、仮想マシンレベルで、ネイティブに動作させることができるようになっています。今年9月24日には、日本で新製品を発表しました。業界初となる仮想化専用のオールフラッシュアレイで、一つのきょう体で最大5000台の仮想マシンを稼働できる「VMstore T5000シリーズ」をはじめ、ストレージOSの最新版、仮想マシンをより細かく管理できる統合管理ツールを発表しています。

──ユーザー企業に対するアプローチについては、どのようにお考えですか。

森山 前述のように、創業時はTier0を対象にハイスピードを求めるハイエンド市場に特化した製品戦略を進めてきました。今は、4~5年前にハイブリッドな階層化ストレージを導入したお客様が、そろそろ更新期を迎えようとしています。その9割以上は、プライマリシステムでオールフラッシュは使用していないので、こうしたお客様をターゲットに、Tier1からTier2まで領域を広げて、スピードだけではなく運用面などの優位性も訴求して、顧客開拓を進めていきたいと考えています。

 技術的な話ですが、従来のHDDを主体としたストレージは、データの最小単位として512バイトのセクター・サイズ、エンタープライズ向けには、それにチェックサム用の8バイトや16バイトを加えた520バイトや528バイトのセクター・サイズをもとに、RAIDやLUN、ファイルシステムが設計されていました。これに対して、フラッシュは読み書きを8Kや16Kバイトのページ単位で、書き換えや消去を512Kバイトから2Mバイトのブロック単位で行います。その違いがあるため、従来型ストレージアーキテクチャでは、フラッシュをうまく活用することができないこともあります。そこがSSDが万能ではないといわれる所以でもあり、その解決にはSSDありきで設計された専用機器が望ましく、われわれがSSDアーキテクチャをお客様に提供できるメリットは多いと考えています。

阿部 当社は、プライマリストレージの置き換えを創業からの目標としており、現在もプライマリにおいてストレージがネックになっている課題を解決することで、市場を拡大するとともに、市場のあり方自体も変えていくことを目指しています。「イノベーションのジレンマ」といわれるように、大手ストレージベンダーが一気にフラッシュにシフトすると既存のHDD事業などを破壊しかねません。そこで、フラッシュとHDDを使い分けてフラッシュストレージへの移行を時間をかけて緩やかに行いたい、いわばソフトランティングしたいと考えています。一方、私たちのような新興ベンダーはその縛りがないので、お客様にとってベストな製品を直ちに提供できます。その強みを最大限に生かしていきたいと思います。

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