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2017/03/30 09:08

[週刊BCN 2017年03月27日付 Vol.1671 掲載]

Special Issue

kintoneアプリケーションの開発をサポートする「gusuku(グスク)」の魅力
「BCN 勝手にkintone大賞」をアールスリーインスティテュートが受賞

 2016年11月、千葉・幕張メッセで開催されたサイボウズのプライベートイベント「Cybozu Days 2016」。多くのITベンダーが自社の製品・サービスとkintoneを連携したソリューションを出展していた。そのなかから、読者投票によって「BCN 勝手にkintone大賞」を受賞したのは、アールスリーインスティテュートだ。受賞の喜びの声とともに、サイボウズの業務アプリケーション作成用PaaS「kintone」のアプリケーション開発を強力にサポートする同社のプラットフォームサービス「gusuku(グスク)」開発の背景、特徴、今後のkintoneビジネスについて聞いた。

2年でkintoneが売り上げの過半に顧客業務への深い理解が強み

 今回、アールスリーインスティテュートは、2位以下を大きく引き離しての大賞となった。「Cybozu Daysに向けて『gusuku』のキャラクターを作成し、等身大パネルも展示するなど、当社のブースは異色だった。このような取り組みも含めて高く評価されたことは、率直にうれしい」とkintoneのエバンジェリストである金春利幸・Chief Innovation Officerは語る。

アールスリーインスティテュートにトロフィーを授与

「gusuku」の公式キャラクター
「瑞慶覧みみが」

アールスリーインスティテュート
金春利幸
Chief Innovation Officer
kintone Evangelist
 2000年に設立したアールスリーインスティテュートは、当初、スクラッチ開発が中心の“お堅い会社”だった。それが12年にAWSを扱い始めてクラウドビジネスに参入したのを機に、クラウド系に多い“柔らかい会社”へと大きく舵を切ったという。だが、AWSはインフラ寄りのサービスであるのに対し、同社は開発会社のため、インフラ上の“上物”をいかに早く作成できるかというテーマにマッチしなかった。

 「どうすれば上物を早く作成できるかを模索するなかで、出会ったのがkintone。ただ、発表当初から存在は知っていたが、率直にいって当時は『使えない』という印象だった。カスタマイズができないので、SIerには向いていなかった」と金春氏は振り返る。

 その後、14年にkintone向きの案件が発生したことで、サイボウズとの関係がスタート。いきなり1万人規模の営業支援システムに向けて、kintoneを提案した。採用には至らなかったが、APIが充実してきたこともあり、この時の経験から使えると実感したという。

 「直後に、kintoneのエバンジェリストになってほしいといわれ、二つ返事で引き受けた。それをきっかけに本格的にビジネスに乗り出したが、スクラッチに慣れていた社内は反対だった。それが今や、kintoneが売り上げの半分を占めるまでに大きく成長した。スタート時は、3か年計画で売り上げの過半を目指したが、わずか2年で達成できた」と金春氏。

 今やkintoneのSIパートナーもかなり増えているが、自社の強みについて金春氏は次のように分析する。

 「多種多様な業界での開発を経験している。また、創業当初は経営コンサルタントのお手伝いもしていたので業務を深く理解している。そのため、業務理解力が他社と比べて圧倒的に高い。提案書も、他社はkintoneの説明や使い方の解説が中心なのに対し、当社は業務に入り込んだ改善提案ができるという自負がある」。

 なお、業種では製造、小売り、サービスを中心に、情報系システム、例えば社外業者などとやり取りするシステム案件が多いという。

社内使用を前提に開発エンドユーザーも使える

 「BCN 勝手にkintone大賞」の受賞に大きなウエイトを占める「gusuku」だが、開発の背景にはkintoneならではの開発環境が抱える課題があった。通常のアプリケーション開発は、まずテスト環境を作成し、確認してから本番環境に移行する。しかし、kintoneにはその仕組みがない。「われわれ開発者の立場からすると、いきなり本番環境を触るなんてことは、怖くてできない。何とかできないかと考えていたところに、サイボウズからデプロイ(配布)APIという設計情報をアプリに適応するAPIがリリースされた。そこで、即座に開発を進めて作成したのがgusuku」(金春氏)という。

アールスリーインスティテュート
池上 緑
Cloud Engineer
gusuku Evangelist
 gusukuは、kintoneのアプリケーション開発を管理できる月額課金のSaaSだ。沖縄弁の「グスク」で「城」を意味し、kintoneを守る存在という意味を込めたという。gusukuエバンジェリストである池上緑・Cloud Engineerは、「開発時に必要となるバージョン管理や実行環境の管理、別環境へのデプロイなどの機能を備えている。また、SIerの方だけでなく、広くエンドユーザーの方々にも使っていただくため、オプションとして、データのバックアップ/リストア、Excel帳票出力機能も用意した。実は、もともと社内での活用を前提としていただけに、自分たちにとっていかに使いやすいものになるかを目指した」と解説する。

 現在、契約ベースでは無償版を含めて約150社で、有料版が数十社を占める。ユーザーの中心はSIerだ。使い勝手にすぐれた便利なツールなだけに、展示会にgusukuを出展すると、本来は競合となる他のSIerがお客様になるなど、ビジネスの間口が拡大したという。


 「kintoneでの開発で困っていたというSIerの方々は意外と多く、そうした方々からはとても使いやすいという声をいただいている。例えば、同じアプリケーションを複数の環境に一斉にデプロイしたいというニーズにうまくはまっているようだ」と池上氏。

 今後、gusukuについてはSIerではないユーザーに、いかに使ってもらえるようにするかをテーマに機能拡張を続けていく方針だ。

「gusuku」はエンドユーザーとSIerとの間をつなぐ存在

 アールスリーインスティテュートは、gusukuをはじめとして、どのようにkintoneビジネスを拡大していこうとしているのだろうか。

 「kintoneがビジネスとして順調に拡大しているなかで、今後は大手も参入してくると考えている。そこで、当社の強みをより強化していきたい。とくに、業務を理解できるメンバーを社内で育成していくことが大きなテーマ」と金春氏。

 他社にもgusukuと似た機能を提供している製品があるが、バックアップや帳票作成などの単機能にとどまり、バージョン管理を含めてトータルにカバーできる製品は存在しない。なかでも、デプロイの仕組みは社内で「黒魔術」と呼ばれているほど、同社の技術・ノウハウが詰め込まれているという。

サイボウズ
伊佐政隆
ビジネスマーケティング本部
kintone
プロダクトマネージャー
 サイボウズの伊佐政隆・ビジネスマーケティング本部kintoneプロダクトマネージャーは、「kintoneは、8割が情報システム部門ではない業務部門のユーザーが契約し、テスト/本番環境を意識せずに開発している。それがkintoneのよさだが、逆にSIerの方々からすると、そのプロセスにはなかなか入ってこられない。そこをつないでくれるのがgusukuであり、われわれにとって、とてもありがたい存在」と高く評価する。

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